3つの組み方を比べる
はじめてUL装備を揃えるとき、全部を最軽量にする必要はありません。ここでは収録データから、 現実的な3パターンを計算しました。いずれも各カテゴリの中央値を使っており、 特定の製品を推薦するものではありません。
| 組み方 | 合計重量 | 合計金額 | Aとの差 |
|---|---|---|---|
| A:全部を中央値で | 4.05kg | 約33万円 | — |
| B:Big3だけUL帯に | 2.83kg | 約30万円 | −1.23kg |
| C:一式をUL帯で | 2.25kg | 約26万円 | −1.80kg |
BとCの差に注目してください。Big3を替えるだけで削減量の68%が達成できます。 残りの6品目を全部替えても、追加で減るのは575.6gです。最初に手をつけるべきはBig3という定説は、データでも裏づけられます。
品目ごとの内訳
どの品目でどれだけ減り、金額がどう動くかを並べます。 「UL帯」は当サイトがカテゴリごとに設定した上限以下の製品群で、 そこに何件あるかも示しています。件数が少ないカテゴリは、選択肢が限られる=妥協点が多いことを意味します。
| 品目 | 中央値 | UL帯 | 削減 | 金額差 |
|---|---|---|---|---|
| バックパックBig3 | 699g | 440g96件 | −259g | −6,336円 |
| シェルターBig3 | 751g | 431g115件 | −320g | −9,459円 |
| シュラフBig3 | 940g | 566g117件 | −374g | +6,892円 |
| マットBig3 | 560g | 286g55件 | −274g | −15,431円 |
| インサレーション | 230.5g | 170g93件 | −60.5g | −18,448円 |
| レインウェア | 232.5g | 130g69件 | −102.5g | −6,690円 |
| クッカー | 149g | 72g29件 | −77g | −6,038円 |
| ストーブ | 182g | 48g19件 | −134g | −3,815円 |
| 浄水器 | 223.4g | 63g19件 | −160.4g | −3,762円 |
| ヘッドランプ | 87.2g | 46g21件 | −41.2g | −6,357円 |
なぜ軽いほうが安く出るのか
直感に反する結果なので、理由を分けて考える必要があります。これは「同じ製品の軽い版が安い」という意味ではありません。 UL帯に入る製品群と、カテゴリ全体の製品群が、そもそも別物だからです。
- 重い側に高価な製品が混ざっている。冬用の厚いエアマット、 大型で高機能なテント、装備の充実したザック——重いけれど高い製品は珍しくありません。
- 軽い製品は機能を削っている。ポケットが少ない、耐久性が低い、 快適温度域が狭い。金額に表れないところで支払っています。
- カテゴリによって符号が逆。シュラフでは軽いほうが高く出ます。 条件をそろえた比較は軽い装備は高いのかにまとめました。
削らないほうがいいもの
軽量化には、削っても得るものが小さく、失敗の代償が大きい領域があります。 表の下半分(小物)は、全部合わせても575.6gしか減りません。 その数十グラムのために安全側の余裕を捨てるのは割に合わない、というのが データから言えることです。
- 雨具。日本の山では体温を奪う最大の要因が濡れです。 軽さより、行程に見合う耐水性と透湿性を優先してください。
- 保温着。行動を止めた瞬間に必要になります。削るなら着る枚数の 組み替えで調整し、持たない方向には振らないことです。
- 灯り。予定どおりに歩けなかったときにだけ必要になる道具で、 必要になる場面は必ず暗いところです。
- ファーストエイドと修理具。当サイトは収録していませんが、 重量表に載らないからといって不要ではありません。
次にどこを見るか
用語と数え方の整理はベースウェイトの数え方、削減余地の順位は何から軽くするか、就寝装備の組み方はシュラフ・キルト・マットは3点セットで考えるにあります。